酷暑登山の熱中症予防。30℃超えの稜線歩きをどう克服して楽しく歩くか。

ファーストエイド講習

2024年の夏から標高2500mを超える稜線歩きでも、30℃を超えるようになりました。

2025年はさらに強い日差しを感じるようになり、夏山登山はかなり危険な行為になりつつあると感じてます。

2025年も夏山登山で遭難が増えていますが、熱中症によるものでは思う事例もあります。熱中症まで行かずとも、脱水により、判断力が鈍り、吐き気や眩暈、脚のけいれんなどが生じます。

単なる滑落などでなく、脱水による体調不良が原因である可能性もありますし、高所では高血圧や脱水になりやすく、既往歴がなくても心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすいといわれています。そういった病気による滑落の可能性もあります。

それでも、酷暑の中でも快適に山に登るには、脱水、熱中症にならないように予防することが大事です!

ではどうやって予防すればよいか⁈

黒は着ない。熱中症になりやすく、虫に刺されます。

2025年の7〜8月でも、登山中に気持ちが悪くなった方、顔を真っ赤にして歩いている方、バテたと言ってベンチで横になっている方は、みなさん黒い帽子をかぶっていました。

登山中、黒いハット、黒いズボン、黒いアームカバーを身につけていた方が、顔は熱って赤く、具合が悪くなったのことで、黒いハットをやめて白い手ぬぐいをかぶってもらい、涼しいところで休憩して冷たいものを飲んでもらうと体調が戻りました。

黒い服装は熱を集めます。特に帽子が黒いのは非常に危険です。

さらに、黒はハチやブヨに刺されやすいため、黒い帽子、服装、手袋、タイツなどは避けた方が無難です。黒タイツでショートパンツを履いていた登山者は、タイツの上からブヨに刺され、白いテーピングやタオルを上から巻き付けて歩いて歩いていました。

黒だけでなく、紺色なども避けた方がよいです。白やグレーなど明るい色を着て山にいきましょう。また、できるだけ、風通りがよくなるよつに服装を気をつけることも大事です。

水分摂取だけではダメ!確実に塩分摂取と電解質バランスを大事に。

登山中の水分摂取量は知ってますか?

1時間に摂取する水分量は200mlです。これは、体重50キロの方の量なので、自分の体重と比較してプラスマイナスで考えてもらうとよいです。

5時間の登山なら、最低1リットルですね。その日の暑さによっても調整が必要です。

数年前までは、しっかり水分摂取と適度に行動食をとっていれば大丈夫でした。しかし、2024年から2025年は特に、それだけでは体内の水分電解質バランスが追いつかなくなってきているのを感じます。

2025年では、水分は水だけではなく、確実にポカリで水分をつくったり、塩分タブレットを休憩ごとに摂取するようにしています。同行者も体調を維持できるように、以前より休憩を取るタイミングを早めにして対応し、水分摂取と塩分摂取をしていただいています。

塩分を含む食品を積極的に選び、山に持っていくことも大事です。

しっかり飲んで食べてれば遭難しない

水分摂取は1時間200mlと伝えましたが、カロリーも同じ計算で、1時間200キロカロリーです。(体重50キロの人の場合)

とにかく遭難しないようにするには、歩ける状態を維持すること、そして判断力を維持することが大事です。

そのために、1時間あたりの水分とカロリーをしっかり計算しながら摂ることが何より大事です。

歩いている時に、体調がなんとなく変だな、気少し気持ち悪い気がする、ちょっと気が焦ってるな、脚がつりそう、などという時は、必ず立ち止まり、歩いてきた時間と水分摂取量とカロリー量が合っているか考えてみてください。

早めに対応することが大事です。救助要請せずに元気に歩けるようになりますよ。

うちわ 日傘

熱中症予防に、うちわや日傘も有効です。特に休憩中は、日影がなければしっかり休むのに効果的ですね。

うちわは、送風するのには最高です。ザックの背中側に忍ばせておけば場所もとりません。熱中症気味になった仲間を休憩させるときにも、効果的な送風の道具として有効です。

道をあける時は山側で待つ

熱中症と関係ありませんが、最近気になるのは、ほとんどの方が、崖側で止まって道をあけてくれることです。先日の登山では、9割くらいの方が、崖側で待っててくれました。ルールが変わったのかと思うほどですが、昔から山をやっているような登山者は山側で待っててくれます。

譲ってもらった登山者が少しふらついてぶつかったりしたら、、待ってる人も熱中症気味でぼーっとしてたら、、道を譲って崖側で待っててくれた人は崖下に堕ちますよね。堕ちたくない人は、山側で待って道をあけてほしいです。