谷か登山道か

2017.11.11 よくがんばった!遭難×登山の醍醐味

山岳遭難者の捜索で、残念ながらご遺体で発見される時でも、こう言いたい。
それは三歩さんと同じ言葉。よくがんばった!

本当によくがんばった。つらかったね。お疲れさま。

それは、自分も同じ山屋であるから。

遭難者の辿る道は、情報を収集すればするほど浮かび上がる。
紙ペラに書かれた名前が、いつの間にか人の形になり、地図上から飛び出し、山を歩き出す。

何処へ行ったの?

この日はどんな気持ちで登っていたの?家族がいたの?妻と子ども?会社は?疲れていた?寝不足だった?遠くから来たんだね?

どんな山登りをしてきたの?この岩場は大変だったね?クライミングは少しやってたんだ?登山経験は5年?地図読みは好きだったのね?百名山は90個以上登ったってね、今回で幾つ目だったの?いつも単独行だったんだね?それなりのリスクは考えて行動してたね。

まだ若いから体力はあったね、ここではへばらない、あと1時間は歩いたはず。ここで落ちた?オーバー70歳なら骨折で這い上がれない場所だね。

朝は晴れてたけど一時的に集中豪雨があったね、その時何処にいたの?日帰り装備だね?ビバーク装備は持っていた?食糧は十分なかったよね?コースタイムが長いけどバス時間があるね、焦っていたの?

いつも無口だったって奥さんが。他の登山者から危険箇所の情報を得られた可能性は低いね?でも慎重な性格だったようだね?必ず計画書を家族に渡して保険にも入っていたね。

あなたなら、このルート、ここまで来て、この危険箇所は通過出来ないと判断したはず。無理に行こうとは絶対しない、他のルートで下山しようとしたのではないか?

そのとき、この場所、あの天気、時間は、疲労は、気持ちは・・・、彼はきっとこう判断した。

山を歩き出した彼の後を追う。

辿り着いた場所に彼は眠っていた。

よくがんばった!

いくら情報を収集しても本人に会えないことの方が多い。捜す側としては、不可解な謎の遭難が多い。綺麗に消えてしまったと。

いったいどこへ。。

1人として、同じ考え、同じ行動を取る人はいない。
特に命の危険を感じた人間の場合、通常ではあり得ない行動をとるかもしれない。認知症の方も同様。

行動心理学では解決出来なくても、その人の性格や行動パターンから応用して考えることで解決出来るかもしれない。
遭難した本人にとっては、その時、それが最良の方法だったんだから。本人にとっては、何の謎も無い行動だった。

あまりに無知で無謀な登山者は別だけれど、遭難者に対して見下したり怒ることは、何の意味のないこと。
それでは何も変わらない。

遭難した原因が必ずあり、それは1つでは無い。
その原因に対し、生還者なら改善策をともに考え、他の登山者と共有出来ると良い。

それは、ただ単に、天気が悪い時に行くから悪い、とかいうとこではない。

山に向かう人はそれぞれ違う。
体力、技術、経験、スタイル、計画、体調、想い、性格、、挙げればキリが無い。

天気が悪かった時に山に入ったのが原因と一言で片付けられた遭難者。

天気が悪くても、何らかの方法で生還出来たはず。
天気が悪くて道に迷ったのか?
天気が悪くて低体温症になったのか?
天気が悪くてパニックになったのか?

天気が悪くても、防水防寒着の着用、体温保持のためのカロリー摂取、焦らず天気を読むこと、山を読むこと、計画を見直すこと、何らかの対処が出来ていれば生還出来たかもしれない。
遭難者はどこまで出来たのか?

やはり思うのは、山は誰に対しても平等、ということ。

遭難しないようにどうするか?遭難してしまったらどうするか?
遭難に至るまでのリスクを考えて準備し山に入ることこそ、登山の醍醐味だと思う。

by comic

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